catch a falling star again

 アンソニー・ムーアのOutがヒプノシスのオリジナルジャケットでLP化というニュースが。
この当初発売されることのなかったレコードを語るには、このレコードのことを昔から知っている大方の人と同様、78年(みなさんも高校生だったかな?)のRMにおける阿木譲の当該記事まで遡らねばならないのだろう。

 その頃は一部の批評家が「何をどう聴くか」を思想的に先導(いや煽動か)しており、現在のような少しマニアックに音楽を聴くミュージシャンやDJ主導のプレイリスト的なお手軽なものではなかった。
例えば阿木はある新譜レコードを「これだけは買え、どうしてもお金がなければ盗め」と言い、また間章は別のあるレコードを「自宅を売却してでも買え」と言った。レア盤がどうの、ということではなく入手しないと聴けなかったからだ。音楽がデータではなくレコードという呪物だった時代。

 Outは80年代初頭から人から人へ密やかに耳打ちされ続け、どこからかコピーされたテープがレコード店のカウンターの下からそっと手渡され、それがまたコピーされて、を繰り返してきた。
90年代末に「奇跡の」CD化された時はジャケットの改悪、曲順の変更などかなりがっかりさせられたものだったが。

とりあえず現物を手にしてみないとなんとも言えないが、40年以上に渡る「ロックの幻想」の行方は如何に。。。

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