買ったものの聴いてないレコードが沢山ある。聴くタイミングというのがあってその時期を逃すとなかなかターンテーブルに載せる機会が無くなる。なんとなくジャケ買いすることも多々あるので部屋の隅に積んであるジャケットをチラチラ見ながら音を想像するだけで数週間ということもままある。
そして意を決して聴いてみた瞬間に妄想は終わる。
好きなジャケット、アートワークは、みたいな話題になることがよくあるでしょ、みんなそれぞれやっぱヒプノシスだよね、いやキーフでしょ、コレですよコレ、みたいなかんじで夜は更けていくのだが、好きなジャケットと言われていつも思い浮かぶのがMartha & The MuffinsのThis Is The Ice Age、81年のレコード。
内容は及第点のニューウェイブといった趣きでとりたててどうということもないのだが、同一アングルの写真で壁の剥がれかけた古い家の屋根と高層ビルをバックに日が落ちる前と日が昇りはじめた薄暮の時間を切り取って表と裏に配したジャケット。
誰に言っても、ほう、とか、なるほどね…みたいな反応しか無く賛同を得られたことはない。
なんだろうなこれはと、つらつら考えてみたら大学時代に沿線に住んでいていつも使っていた東横線からみた早朝と夕方の景色にそっくりだった。