nothing in somethingparticular

82年にリリースされたAssociatesのSulk。今の世の中では多くのリスナーが即座に拒否反応を起こしかねない硬直したベースと変調されたドラムスに何重にもレイヤーされた過剰な音像。
ブラックミュージックの要素ゼロ、隙間ゼロの極めて歪で人工的な官能。そしてあの声。

ジャケットの、繁茂する植物を照射しながらぼうっと発光するマグネシウムを思わせるグリーンとブルーのトーンは幾分のメタリックさを増しつつインナースリーヴ、レーベルにまで徹底されている。これは超俗的な美意識というより、正真正銘のカンナビス。
当時、このジャケットを一目見てジャック・スミスを想起したのは覆いかぶさる植物がシダに見えたからか?冷蔵庫は見当たらないとしても。

とまれ、アルバムはTOP10入りしたにも拘らず発売後のライブ、全米ツアーを拒否したビリー・マッケンジーはアラン・ランキンに匙を投げられ二人は袂を別つ。
その後の彼を待っていた悲劇、それはたしかにこの世界ではよくある話、なのかもしれないが、ある友人が言っていた「何かが全開になってしまっている人の凄み」というコトバはこのアルバムにこそ当て嵌まるんじゃないかな。音の好みは別として。

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